第8話 
生まれてきてくれてほんとうにありがとう


読者の皆さん こんにちは。
前回のコメンタリーからはだいぶ間が空いてしまったね。


このコマは新たに追加されたシーンだ。前回の更新分では
いきなり2コマ目のモニカの顔がアップになっていたと思う…
目がズタズタになり、顔も痩せこけ、よだれを垂らす表情のディエゴ無くして
このエピソードを始めてはいけないと思い、追加した。


美しい死に顔の頬を撫でた後の彼の表情が好きだ



ここも新たに手直しされたコマだね。前回よりも目が真っ黒になっている…
描くときに、見た人が悪寒を覚えるほどの顔つきにしたいと思ってデザインした。
彼の表情からは彼女をどれほど愛していたのか分かっていただけると思う…
肌の色が違う男女同士がこれほど愛し合えるってメッセージもこの短いシークエンスにはあるんだ


泣き面で上目遣いをすると悲痛さがより伝わってくるってことを
この彼の表情で学んだ… いい勉強になったと思う。


彼の見つめる先には彼が信じてやまなかった
磔刑に処せられたイエス・キリストの姿がある。



しかし、神は無力なんだ…誰もが知ってて敢えて
口に出さなかった言葉を ようやく彼は口にするんだ…



人は自分に不幸が襲いかかった時に、ようやく痛感するんだ…
神の無力さを… そして、神に祈り、願いを託したところで、結果は無慈悲に訪れるんだってことを


死というのは、最早不可避なものなんだなと思い知るんだ。
これまで人を殺め、死を一番よく理解していたハズの彼が、何故今更そのことに気づいたのか…
それは彼があまりにもエゴイストだったからだ。


ハルノ先生も指摘していたが、これがディエゴの本質なんだ。
他人の命を殺めた時は懺悔ではなく、神前でゴスペルソングを歌って酔いしれるのに…
自分の愛する者を失った時は、神前で神への叱責を始める…
 同じ死だというのに…


ファリスに拷問されるシーンで、ファリスがディエゴにジュジュを
殺したことを咎めるシーンを覚えているかな…
彼ディエゴはこう言い返したと思う…
「お前たちにとっては大切な家族でも、俺にとっては死んでもいい奴だっただけのことだ」と…
セリフはなくとも、神はきっと彼にこう言い返している筈だ。


ほぼ1年ぶりの登場だというのに…このアダムという男…wwww
正直、このヘアーは失敗だったと思うww 個人的にはコブラのスタローンをモチーフにイメチェンを図ろうと
思ったが…ハルノ先生には「誰だよwww」と言われる始末だし…www


ここのシークエンスの絵がやたらガタガタなのは、この時にペンタブが不調だったからだ
しかしながら、次の話へと進みたい気持ちが先行していて
不調なコンディションを引きずってでもいいからとにかく話を
進めたいと思ったからだ ゴリ押しってことだね。


アダムが主人公にどんな言葉をかけるかはかなり苦労した。
アダムが主人公を大声で激励する
熱いシーンや、モニカの死を侮辱されたディエゴが
アダムを絞殺しそうになるシーン、殺し屋は幸せになってはいけないんだと諭すシーンなど色々考えたが どれも違うと思った。
個人的にしっくり来たのが「愛すべき人の死後の人生をどう生きるべきか…」をテーマにするこのシーンだ。
アダムは主人公の理解者であるべきで、人生の指導者でもあるべきなんだと気づいた。
ただ、アダム自身はもうすでに人生の冷たさを悟ってしまっている…だから自然と口調もクールなものであるべきだと思った。

聖母被昇天の絵画だ。作中では描かれていないが、
ディエゴは表向きの職業である神父という仕事を通じて、
何人もの信者たちを抱えていた。モニカもディエゴを通じ、彼らと出会い、フィリッピオとその娘と親友になることが出来た。
ディエゴと出逢ったことで、ただの娼婦として孤独に死んでいく筈のマグダラのマリアのような彼女は、
大勢の人に死を惜しまれ、看取られて死んでいく聖母マリアのような女性になれたんだ。
モニカの死は大勢の男達に陵辱される悲惨なものだったが… 
それでも、モニカはディエゴと出逢ったことを後悔なんてしてなかっただろう… 
愛する人の帰りを待ち、愛する人と寝食を共にし、愛する人との子供を授かり、それを親友に祝ってもらえるなんて…
きっと昔の彼女は思っても見なかっただろうから…

女心なんて僕には分からない… 以前、じゃろ先生にも
こういう状況になった時の女性の心理を相談したことがあった… 
「ディエゴのことは恨まないと思います」と…先生は仰った。
モニカが死の瞬間まで何を思っていたかは、知る由も無いが…僕も同じことを思う。
きっとモニカはディエゴにこう言いたかったと思う…
「生まれてきてくれて本当にありがとう」と…




バーボンハイム先生に励ましのお便りを送ろう!!



 

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